国税庁の猶予相談の窓口の変更
国税庁では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りが悪化するなどして納税が難しい方から、電話により納税の猶予等に関する質問や相談を受け付けるため、令和2年4月に「国税局猶予相談センター」を開設していましたが、より丁寧に納税者の実情に即して対応するため、令和4年7月1日(金)以降は、住所地等の所轄税務署(徴収担当)での対応となります。
国税の猶予制度には、【1】換価の猶予(国税徴収法第151条の2)と【2】納税の猶予(国税通則法第46条)があります。
【1】換価の猶予(国税徴収法第151条の2)
(1)要件
1.国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
2.納税について誠実な意思を有すると認められること。
3.猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。
4.納付すべき国税の納期限から6か月以内(※)に申請書が提出されていること。
※既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予が受けられる場合もあります。
※※ 担保の提供が明らかに可能な場合を除き、原則担保は不要です。
(2)猶予が認められた場合
1.原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)。
2.猶予期間中の延滞税が軽減(※)されます。
※通常 年 8.7%→軽減後 年 0.9%(令和4年中の利率)
3.財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
※※ 原則、担保は不要です(担保の提供が明らかに可能な場合を除く。)。
(3)手続き
「換価の猶予申請書」に、必要な書類を添付して、所轄の税務署に提出します。申請に手数料は不要です。
(4)添付書類・部数
1.「財産収支状況書」 1部
(猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は、「財産目録」及び「収支の明細書」 各1部)
2.担保提供書(原則担保提供は不要です)1部
【2】納税猶予(国税通則法第46条)
(1)要件(個別の事情の具体例)
次のような個別の事情に該当する場合は、納税の猶予が認められることがあります。税務署に相談される場合は、お申し出ください。
1.新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合、それらの再調達価額等に相当する金額
2.納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち医療費や治療等に付随する費用 納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
3.納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額
(2)猶予が認められた場合
1.原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)。
2.猶予期間中の延滞税が軽減(※)又は免除されます。
(※)通常 年 8.7%→軽減後 年 0.9%(令和4年中の利率)
3.財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
(3)手続き
納税の猶予申請書及び添付書類を作成の上、所轄の税務署に提出します。申請に手数料は不要です。
(4)添付書類・部数
1.災害(コロナ罹患)などの事実を証する書類
2.財産収支状況書」 1部
(猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は、「財産目録」及び「収支の明細書」 各1部)
3.担保提供書 1部
4.納税の告知がされていない源泉徴収等による国税の猶予を申請する場合には、所得税徴収高計算書、登録免許税の猶予の申請する場合には登録等の事実を明らかにする書類 1部
(5)納税猶予(国税通則法第46条)についての申請書や申請方法については、国税庁HPの以下のページも参照ください。
●「国税通則法46条1項による猶予期間内に同項の災害を受けたことにより猶予金額を納付することができないときの納税の猶予の申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200002.htm
●「令和2年4月30日 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律による納税の猶予の特例の取扱いについて(法令解釈通達)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/chosyu/200428/01.htm#:~:text=%E7%AC%AC46%E6%9D%A1%E7%AC%AC%EF%BC%91,%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AB%E6%84%9F%E6%9F%93%E3%81%97%E3%81%9F
【3】私見
「換価の猶予申請書」や「納税の猶予申請書」もそうですが、添付書類である「財産収支状況書」、「財産目録」及び「収支の明細書」は記載にある程度の知識が必要となります。ご自身で税務申告をされている方は頑張れば記載可能かもしれません。税理士に申告を依頼されている方は、税理士に記載を依頼されることをお勧めします。また、書類の提出が難しい場合は、税務署の職員さんが口頭で対応してくれますので、所轄税務署にお問い合わせください。
【参照】国税庁HP等
(2022年6月記載)
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