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コラム

消費税の棚卸調整の留意点

アイキャッチ

消費税の免税事業者が課税事業者になったり、課税事業者が免税事業者になると、期末に有している棚卸資産に係る消費税額について調整が必要となります。

このとき注意しなければならないのは、その調整する金額は、期末に有する棚卸資産の全てではないことです。

(1)消費税の免税事業者が課税事業者(原則課税)になった場合

免税事業者であった期間に仕入れた棚卸資産を、課税事業者になった期間の課税仕入れにできる。

(注意)上記棚卸資産に含まれる、課税事業者であった期間に仕入れたものは課税仕入れにできない。

(2)消費税の課税事業者(原則課税)が免税事業者になった場合

免税事業者になる直前の課税期間中に仕入れた棚卸資産で、その直前の課税期間の期末棚卸としているものは、その直前課税期間の消費税の計算上控除できない(加算調整)。

(注意)上記で加算すべき期末棚卸に係る消費税は、免税事業者になる直前の課税期間中に仕入れたものに限られる。

コロナ禍が続き、売上が大きく変動する事業者さんも多いかと思います。
消費税についても、

・簡易課税の選択をしていたが、経営不振で原則課税に変更する。(原則が有利なので)

・基準期間の課税売上が5千万円以下になったので、簡易課税の選択ができる。
・基準期間の課税売上が1千万円以下になったので、消費税の納税義務がなくなった。
・コロナ禍から回復して、消費税の免税事業者から課税事業者になった。
などのケースがあると思います。

また、免税事業者になる場合の簡易・原則の有利判定や、課税事業者になる場合の簡易・原則の有利判定、高額特定資産である棚卸資産の調整に係る簡易課税制度の適用制限及び事業者免税点制度の特例などでも、上記論点(棚卸調整)に気を付ける必要があります。


【消費税法】

(納税義務の免除を受けないこととなつた場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)

第三十六条 第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、同項の規定の適用を受けないこととなつた場合において、その受けないこととなつた課税期間の初日の前日において消費税を納める義務が免除されていた期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は当該期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物で棚卸資産に該当するものを有しているときは、当該課税仕入れに係る棚卸資産又は当該課税貨物に係る消費税額をその受けないこととなつた課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなす。

 事業者が、第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなつた場合において、同項の規定の適用を受けることとなつた課税期間の初日の前日において当該前日の属する課税期間中に国内において譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物で棚卸資産に該当するものを有しているときは、当該課税仕入れに係る棚卸資産又は当該課税貨物に係る消費税額は、第三十条第一項(同条第二項の規定の適用がある場合には、同項の規定を含む。)の規定の適用については、当該課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額に含まれないものとする。

(一部要約及び2~4項省略。下線・強調筆者。)


(2022年8月記載)

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