令和4年度所得税改正「納税地の特例等の改正」
【1】改正前の制度
所得税の納税地は、原則として、納税義務者が国内に住所を有する場合はその住所地とし、国内に住所を有せず居所を有する場合はその居所地とされているが、その納税地を変更することができる「納税地の特例」が設けらている。
そして、納税地を変更する場合や、納税地に異動(転居など)があった場合には、「所得税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を税務署に提出する必要があった。
【2】改正前の所得税法
第十五条(納税地)
所得税の納税地は、納税義務者が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場所とする。
一 国内に住所を有する場合 その住所地
二 国内に住所を有せず、居所を有する場合 その居所地
(一部及び三号から六号省略)
第十六条(納税地の特例)
国内に住所のほか居所を有する納税義務者は、前条第一号の規定にかかわらず、その住所地に代え、その居所地を納税地とすることができる。
2 国内に住所又は居所を有し、かつ、その住所地又は居所地以外の場所にその営む事業に係る事業場その他これに準ずるもの(以下「事業場等」という。)を有する納税義務者は、その住所地又は居所地に代え、その事業場等の所在地(その事業場等が二以上ある場合には、これらのうち主たる事業場等の所在地。)を納税地とすることができる。
3 第一項の規定の適用を受けようとする者は、その住所地の所轄税務署長に対し、一定の事項を記載した書類を提出しなければならない。この場合において、当該書類の提出があつたときは、その提出があつた日後における納税地は、その居所地とする。
4 第二項の規定の適用を受けようとする者は、一定の事項を記載した書類を提出しなければならない。
5 第一項又は第二項の規定により居所地又は事業場等の所在地を納税地としている者は、これらの規定の適用を受ける必要がなくなつた場合において、その納税地の所轄税務署長に対し、一定の事項を記載した書類を提出したときは、その提出があつた日後における納税地は、その住所地(同項の規定により事業場等の所在地を納税地としている者で住所地を有していない者については、居所地)とする。
(一部及び6項省略)
第二十条(納税地の異動の届出)
納税義務者は、その所得税の納税地に異動があつた場合(一定の場合を除く。)には、政令で定めるところにより、その異動前の納税地の所轄税務署長にその旨を届け出なければならない。
(一部省略)
【3】改正の内容
納税地の異動については、原則、提出された確定申告書等や住民票の異動による住民基本台帳ネットワークの情報を通じて、確認することができる。
又、納税地の変更については確定申告書の納税地を事業場とした場合であっても、納税地の変更届の提出がない場合に、納税地の変更届の提出を求める必要があるなど、課税実務に問題があった。
これらの点を踏まえ、所得税の納税地の異動又は変更に関する届出書についてその提出が不要とされ、原則、確定申告書に記載した場所を納税地として税務署が把握管理することとされた。
また、申告前に納税地の異動があった場合に、課税処理等を行うために、納税地を特定する必要がある場合には、共通番号システムで住所地を確認することとなる。(税務署が市役所などに照会する)
【4】適用関係
上記の改正は令和5年1月1日以後の納税地の変更等について適用されます。
【参照】
財務省資料、国税庁資料
(2022年7月記載)
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