個人ができる税金対策とは?会社員・サラリーマンの節税に有効な控除制度を徹底解説!
会社員・サラリーマンが支払う税金は給与から差し引かれるため、「税金対策」を意識したことがない方も多いでしょう。
しかし、個人でも節税によって手取りが増やせます。
本記事では、会社員・サラリーマンができる税金対策をはじめ、個人事業主や法人の節税方法も具体的に解説します。
<この記事の監修者>
吉本 貴幸(よしもと たかゆき)
税理士法人吉本事務所
代表社員 税理士・行政書士
大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。
税金対策とは
税金対策とは、「税法の範囲内で税金の負担を軽減させる手段」のことです。
合法的かつ効果的な方法を取り入れることで余計な税金を支払わずに済むため、手取りが増やせます。
ただし、税法の範囲を超えた税金対策は「脱税」に当たり、意図的ではなくてもペナルティが課されるので注意が必要です。
正しい方法で節税できるよう、税金対策への理解を深めましょう。
年収いくらから対策すべき?
2020年の税制改正で「基礎控除」や「給与所得控除」などの内容が変更されたことにより、年収が850万円以上の会社員・サラリーマンは税金の負担が増えました。
そのため、年収が800万円に達する場合は積極的に税金対策を取り入れるべきでしょう。
とはいえ年収が800万円以下の場合でも節税は可能なため、少しでも手取りを増やしたい会社員・サラリーマンはできることから始めてみることをおすすめします。
会社員が支払う税金の種類
会社員・サラリーマンが給与から差し引かれる税金は、「所得税」と「住民税」の2種類です。
このうちの所得税は、個人の所得から「所得控除」を差し引いた金額に税率を適用して計算されます。
適用される税率は所得が多いほど上がるため、節税するには控除制度を利用して課税の対象となる所得を小さくすることが重要です。
会社員・サラリーマンができる節税対策8つ
ここからは、会社員・サラリーマンができる節税対策を具体的に解説します。
医療費控除
医療費控除とは、1年間の医療費が一定の金額を超えた場合に利用できる控除制度です。
なお、同一生計の配偶者または親族のために負担した費用も含められます。
医療費控除額の計算方法は、以下の通りです。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(※総所得金額が200万円未満の場合は総所得額の5%)=医療費控除額 |
最大200万円の控除が受けられるため、大幅に節税できるケースもあります。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、薬局やドラッグストアなどで市販される対象の医薬品を購入した費用が1年間で12,000円を超えた場合に利用できる医療費控除の特例です。
なお、同一生計の配偶者または親族のために購入した費用も含められ、最大88,000円の控除を受けられます。
ただし、一定の健康診査や予防接種などを行なっている方にしか適用されない点と、医療費控除との併用ができない点には注意しましょう。
なお、当初は令和3年度分までが対象でしたが、改正により、税制対象医療品を、より効果的なものに重点化(令和4年分からは効果が薄いものは対象外とし、とりわけ効果があるものの対象を拡充)したうえで、令和8年度分までに延長されました。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、「生命保険料」だけでなく「介護医療保険料」や「個人年金保険料」を支払っている場合にも利用できる控除制度です。
ただし、加入している保険の内容によって対象外となる場合があるため、事前に確認する必要があります。
生命保険料控除額は最大120,000円で、保険の契約日に基づいて以下の通りに計算します。
【新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
【旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
地震保険料控除
地震保険料控除とは、納税者や同一生計の配偶者または親族が所有する「建物」・「家財」を対象とした地震保険料を支払っている場合に利用できる控除制度です。
なお、「常時その居住の用に供する家屋や生活に通常必要な動産(家具や30万円以下の貴金属など)」に限られるため、空き家や別荘など居住用ではない建物は控除の対象になりません。
地震保険料控除額は、以下の通りです。
【地震保険料控除額】
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
50,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
50,000円超 | 一律50,000円 |
特定支出控除
特定支出控除とは、特定支出の合計額が「給与所得控除額」の半分(最高125万円)を超える場合に、超えた部分に対して利用できる控除制度です。
特定支出として認められる費用には、以下が挙げられます。
・通勤費 ・転居費 ・研修費 ・資格取得費 ・帰宅旅費 ・勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費など) |
なお、特定支出控除を受ける際は給与の支払者による証明が必要です。
ふるさと納税
ふるさと納税を利用して自治体に寄付をした場合は、「寄附金控除」を受けられます。
注意点として、ふるさと納税は寄付額から2,000円を差し引いた部分が寄付をした年分の税金から控除される仕組みのため、厳密には節税方法とは言えないかもしれません。
実際に手元からお金が出ていき、その分が控除され、また返礼品を受け取れます。
節税というよりは、お得な制度です。
ただし、自身の住んでいる自治体以外に納税することから、場合によっては自身の住んでいる自治体が税収減となる問題もあります。
また、下記のように控除限度額が設定されているので、むやみやたらに寄付せず、自身の寄附の限度額を把握することも重要です。
もちろん、もともと税額が出ない場合は控除できません。
寄附金控除額の計算は、以下の通りに行います。
①または②のどちらか低い金額-2,000円=寄附金控除額 ①年間の寄付額 ②総所得金額等の40%相当額 |
確定拠出年金
確定拠出年金とは、加入者が拠出した掛け金を運用して、原則60歳を迎えた際に掛け金と運用益に基づいた給付額を受け取れる年金制度です。
個人型の「iDeCo」と「企業型DC」に分けられます。
どちらの場合でも掛け金や運用益が非課税となるため、大きな節税効果が期待できるほか、老後の資産を確保する意味でも有効でしょう。
なお、給付額を受け取る際も「公的年金等控除」または「退職所得控除」を受けられます。
NISA
NISAとは、NISA口座内で購入した金融商品によって得た利益が非課税となる「少額投資非課税制度」です。
「一般NISA」に加えて、「つみたてNISA」や「ジュニアNISA」の3種類に分かれます。
それぞれの違いは以下の通りです。
種類 | 一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA |
---|---|---|---|
対象者 | 18歳以上 | 18歳以上 | 17歳以下 |
非課税保有期間 | 5年 | 20年 | 5年 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 | 上場株式 ETF 公募株式投信 REITなど | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 一般NISAと同じ |
備考 | 年単位の選択制 | 年単位の選択制 | 2023年末で終了 |
※2024年以降はNISAの内容が見直されます。
投資に慣れていない方は、少額から開始できる「つみたてNISA」がおすすめです。
理想的な運用が実現できれば、節税しつつ資産を築けるでしょう。
個人が状況に応じて利用できる控除制度
次に、会社員・サラリーマンなどの個人が状況に応じて利用できる控除制度を解説します。
自分が該当する制度があるかどうか、確認してみましょう。
配偶者がいる場合
配偶者がいる場合は、「配偶者控除」の対象です。
配偶者とは、対象年の12月31日時点で以下の要件をすべて満たす方を指します。
1. 民法の規定による配偶者であること 2. 納税者と同一生計であること 3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) 4. 青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと |
また、控除額は納税者の合計所得金額や配偶者の年齢によって異なり、配偶者が12月31日時点で70歳以上の場合は表右側の控除額が適用されます。
納税者の合計所得金額 | 控除額 (一般控除対象配偶者) | 控除額 (老人控除対象配偶者) |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
扶養親族がいる場合
扶養親族がいる場合は、「扶養控除」が適用されます。
扶養親族とは、対象年の12月31日時点で以下の要件をすべて満たす方です。
1. 配偶者以外の親族であること 2. 納税者と同一生計であること 3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) 4. 青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと |
また、控除額は扶養親族の年齢や同居の有無により異なるため、以下を参考にしてください。
【扶養控除額】
区分 | 控除額 |
---|---|
扶養対象扶養親族(16歳以上の方) | 38万円 |
特定扶養親族(19歳以上23歳未満の方) | 63万円 |
老人扶養親族(70歳以上の方) | 同居している場合 48万円 上記以外の場合 58万円 |
※12月31日時点での年齢
なお、老人扶養親族の入院により別居中の場合は長期の入院でも、納税者と同居として扱えます。
ただし、老人ホームへ入所している場合は同居に認められません。
住宅を購入・リフォームする場合
住宅ローンを利用して住宅を購入したりリフォームしたりする場合は、「住宅借入金等特別控除」が適用されます。
一般的には「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれる制度です。
控除を受けるための要件は細かく設定されており、また住み始めた時期によって控除期間や控除額に差があります。
住宅の購入・リフォームを予定している場合は、事前に確認しましょう。
配偶者と離婚・死別した場合
配偶者と離婚や死別した後に再婚していない場合は、「ひとり親控除」または「寡婦控除」の対象です。
ひとり親控除
令和2年分より「寡夫控除」から「ひとり親控除」に変更されました。
ひとり親控除は女性と男性ともに適用があり、未婚、死別・離婚後に再婚していないまたは配偶者の生死が不明かつ下記の要件をすべて満たす方に適用されます。
・婚姻関係と同様の状態と認められる相手がいないこと ・子どもと同一生計であること(※子どもとは総所得・金額等が48万円以下で、他の方の同一生計配偶者や扶養親族ではない場合に限る) ・合計所得金額が500万円以下であること |
なお、控除額は35万円です。
寡婦控除
「ひとり親控除」の要件に該当せず、合計所得金額が500万円以下で①または②の要件を満たす女性は「寡婦控除」が適用されます。
①夫との離婚後に再婚しておらず、子以外の扶養親族がいる ②夫との死別後に再婚していない、または夫の生死が不明 |
婚姻関係と同様の状態と認められる相手がいる場合は、控除が適用されないことを理解しておきましょう。
なお、控除額は27万円です。
また、男性は子を有する要件があるなどの「ひとり親控除」の適用だけであり、女性が受けられる「寡婦・ひとり親控除」よりは、受けられる範囲が狭いのも特徴です。
災害・盗難の被害を受けた場合
災害や盗難により特定の資産に被害を受けた場合は、「雑損控除」が適用されます。
特定の資産とは、住宅や家財、衣服など生活に必要な資産のことです。
なお、合計所得金額が1,000万円以下の方は、「雑損控除」または「災害減免法による税金の軽減・免除」のどちらか有利なほうを選択できます。
株取引で損をした場合
上場株の取引で損失が発生した場合は、「損益通算」により同年の他の上場株の利益や配当所得と相殺できます。
損失を含めずに計算すると利益のみに税金が課されるため、覚えておきましょう。
また、それでも損失が補えない場合は、翌年から最長3年まで損失を繰り越せる「繰越控除」も利用できます。
副業をしている場合
近年は、副業をする会社員・サラリーマンが増えています。
副業をしている場合は、確定申告の際に青色申告を行なったうえで下記の要件を満たすと、55万円(最大65万円)の所得控除を受けられる「青色申告特別控除」を利用できます。
不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること これらの所得に係る取引を複式簿記により記帳していること 上記に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、控除の適用を受ける金額を記載して、確定申告期限までに申告書を提出すること |
加えて、①または②のいずれかを満たす場合は、65万円の控除対象です。
①事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳の電子帳簿保存を行なっていること ②所得税の確定申告書や貸借対照表及び損益計算書等の提出を確定申告期限までにe-Taxを使用して行うこと |
なお、上記55万円または65万円の要件に該当しない方は、10万円の控除が適用されます。
不動産投資での節税対策が向いているケース
控除制度を利用するだけでなく、節税対策と資産形成を兼ねて不動産投資を行う方法もあります。
ただし、不動産投資には向き・不向きがあるため、よく理解したうえで検討しましょう。
年収1,200万円以上の場合は節税効果が高い
年収が1,200万円を超える方は、不動産投資による節税対策にも向いています。
なぜなら所得と税金の負担は比例するため、納税額が多いほど節税効果は高くなるからです。
そのため、反対に年収が1,200万円以下の方は高い節税効果が期待できません。
また、不動産投資は所得税や住民税のほか、「贈与税」「相続税」の節税にも有効です。
資産の贈与や相続を考えている場合は、不動産投資を視野に入れるのもよいでしょう。
不動産投資で節税効果が得られる仕組み
不動産投資での節税対策は、減価償却を利用して行います。
減価償却とは、経年により価値が減る資産の購入費を耐用年数で分割して計上することです。
たとえば、「購入費が5,000万円」で「耐用年数が47年」の建物を購入した場合は、以下の計算方法で減価償却費を求めます。
建物の購入費5,000万円÷耐用年数47年=1,063,829万円(減価償却費) |
減価償却費は実際に支払うわけではありませんが、経費として計上できます。
加えて、その他の管理費や水道光熱費、修繕費、固定資産税、借入金の利子、税理士費用、雑給なども経費に含められます。
そのため、不動産投資でマイナスが出れば「損益通算」により給与所得と相殺することで節税できる仕組みです。
ただし、不動産所得の金額の損失のうちで次のものは、損益通算の対象となりません。
・別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの ・不動産所得で必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する金額 |
また、当初の計画より入居者が決まらなかったり修繕・管理費がかかったりするなどのケースもあり、不動産投資は永久的な節税方法ではないことを理解しておく必要があります。
不動産投資での節税対策には確定申告が必要
確定申告は給与以外の所得が20万円を超える場合に必要な手続きのため、会社員・サラリーマンは馴染みのない方も多いでしょう。
しかし、不動産投資での収入が20万円未満の場合でも、「青色申告特別控除」を利用するには確定申告が必要です。
自分で手続きができるか不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。
個人事業主はどんな節税対策ができる?
ここからは、個人事業主ができる節税対策を解説します。
個人事業主が支払う税金の種類
個人事業主が支払う税金は、主に「所得税」「住民税」「消費税」「個人事業税」の4種類です。
「所得税」と「住民税」はすべての個人事業主に対して課されますが、「消費税」と「個人事業税」は事業内容や売上に応じて課税される特徴があります。
また、所得税や住民税、個人事業税は所得から経費や所得控除を差し引いた金額に、ぞれぞれの税率を適用して計算されます。
個人事業主が節税する方法4つ
個人事業主が節税する方法を具体的に解説します。
青色申告を行う
確定申告は、「青色申告」と「白色申告」の2種類に分かれます。
現在、白色申告を行なっている場合は、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出して青色申告に変更しましょう。
青色申告を行うと最大65万円の控除を受けられるほか、同一生計の家族または親族を雇用している場合は支払った給与を経費計上できるため、節税効果が得られます。
経費や控除の内容を見直す
先述の通り、個人事業主の税金は所得から経費や所得控除を差し引いた金額に、ぞれぞれの税率を適用して計算されます。
そのため、経費や控除を漏れなく計上・申告すれば、所得税や住民税、個人事業税の節税が可能です。
この機会に、経費や控除の内容を見直してみましょう。
減価償却の特例を受ける
個人事業主の節税対策に有効な方法として、「少額減価償却資産の特例」があります。
少額減価償却資産の特例とは、購入費の全額を経費として計上できる制度です。
ただし、下記の要件を満たす必要があります。
・青色申告を行う中小企業者であること ・購入費が30万円未満であること ・確定申告書に少額減価償却資産の購入費に関する明細書を添付すること |
法人化を検討する
売上が増えてきたなら、法人化を検討するのもよいでしょう。
なぜなら個人事業主と法人では課される税金の種類が異なるため、法人化することで税金の負担を軽減できる場合があるからです。
とはいえ法人化を検討する際は、メリットやデメリット、タイミングなどを考慮して総合的に判断しましょう。
法人の税金対策は?法人税を節税する方法
ここからは、法人ができる節税対策を解説します。
法人が支払う「法人税」とは
法人税とは、法人の所得に対して課される税金で、一般的に「法人住民税」や「法人事業税」などもまとめて「法人税」と呼ばれます。
法人税の税率は法人の種類や規模によって異なるものの、所得に税率を適用して計算されます。
次章では法人の節税対策を解説するので、法人化を検討している個人事業主の方も参考にしてください。
法人が節税する方法4つ
法人が節税する方法を具体的に解説します。
役員報酬を計上する
経営者が給与として受け取る役員報酬を経費に計上することで、節税効果が得られます。
ただし、適切な金額を設定しなければ、個人の所得税や住民税、社会保険料が上がる可能性も考えられます。
また、事業年度開始日から3か月以内に役員報酬の金額を設定する必要があるため、余裕をもって税理士に相談しましょう。
社宅を用意する
従業員の社宅として会社名義で賃貸物件を借りれば、不動産会社へ支払った家賃と従業員から受け取った家賃の差額を経費に計上できます。
節税効果が得られるだけでなく従業員満足度の向上も狙えるため、積極的に取り入れましょう。
また、役員社宅を活用するのもおすすめです。
未払費用を計上する
未払費用を今期の費用として計上する方法も、節税に有効です。
未払費用とは、今期に発生したものの支払いが翌期になる費用のことで、主に従業員に支払う給与をはじめ、保険料や通信費、宣伝広告費などが挙げられます。
なお、個人事業主も同様の方法で節税効果を得られますが、法人のほうが所得が大きいのでより高い効果を見込めます。
赤字を繰り越す
過去または今期で赤字が発生した場合は、「繰越欠損金制度」により翌期以降の黒字に転じた年度の所得と相殺できるため、大きな節税効果が見込めます。
なお、法人は最大10年まで繰り越すことが可能です。
ただし、繰越欠損金制度を利用するには要件や控除額などが定められているため、注意しましょう。
個人・法人の節税対策に関するご相談は「税理士法人吉本事務所」へ
税理士法人吉本事務所は、「税理士」「社労士」「行政書士」「保険外交員」の連携によって総合的な節税対策を実現する税理士事務所です。
これまでの経験や実績に基づいて、個人のお客様から法人のお客様まで幅広いお悩みに対応いたします。
一人ひとりのお客様に合ったベストな節税対策をご案内できますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
個人の所得税は、所得から所得控除を差し引いた金額に税率を適用して計算されます。
そのため、会社員・サラリーマンが手取りを増やすには、課税の対象となる所得を小さくすることが重要です。
控除制度にはさまざまな種類があるため、まずは「自分が該当する制度はないか」を見直してみましょう。
なお、控除制度を利用するには「確定申告」が必要なものもあります。
自分で手続きができるか不安な場合は、税理士に相談してみましょう。