特定口座の株式取引について申告した方が良い場合
特定口座で株取引をしていて、源泉徴収されている場合には、確定申告は不要なのです
が、確定申告をした方が良いケースがいくつかあります。
1.株の譲渡損が出た場合
分離課税で申告することで、3年間損失を繰り越すことができます。
また、特定口座が複数ある場合には、違う特定口座間で利益と損失を相殺できます。
ただし、繰越損失と相殺するために、専業主婦で扶養に入っている人などが、特定口
座の株の譲渡を申告すると、所得が増えて、扶養に入れなくなることがあるので注意し
て下さい。
2.配当控除を受ける場合
所得が695万円以下の人は、総合課税で申告することで、税額が安くなります。
また、所得税と住民税で申告方法を変えることが可能です。配当控除を受けるため
に、所得税は総合課税で申告したとしても、住民税は総合10%に対し分離は5%で分
離の方が低いため、分離課税で申告した方がお得です。
29年より、所得税と住民税は違う申告方法を選べるようになったので、配当の金額が
大きい人は、住民税は分離課税か申告しないとする申告書を提出して下さい。
住民税の納税通知書が届くまで(5月下旬頃)に市区町村に申告書を提出すればOKで
す。
総合課税 | 分離課税 | 申告しない(源泉のみ) | |
配当控除 | あり | なし | なし |
損益通算 | なし | あり | なし |
扶養控除等の判定 | 所得に含む | 所得に含む | 所得に含まない |
税率 上場 | 累進税率 | 所得税15.315%地方税5% | 所得税15.315%地方税5% |
税率 非上場 | 累進税率 | 所得税20.42% | 所得税20.42% |
借入金利子の控除 | あり | あり | なし |
【配当所得の申告】
(イ)総合課税
(ロ)分離課税
(ハ)申告不要(上場及び非上場の少額配当に限る)(イ)、(ロ)及び(ハ)は、いずれか有利な方を選べます。
課税所得が695万円以下なら総合課税有利、それより上なら申告しない方が有利
ただし、申告不要を選択しても、非上場株式の配当は地方税は申告が必要 分離課税が有利な場合…株式の譲渡損失の繰越額があって、配当所得と相殺する場合のみ
ただし、当年度の損失と相殺する場合には、配当所得が所得にカウント
されないが、繰越損失と相殺する場合には、カウントされるので扶養など注意!
【計算例】所得695万円以下(税率20%)
●上場
所得税 | 住民税 | |||
税率 | 20% | 税率 | 10% | |
配当控除 | △10% | 配当控除 | △2.8% | |
源泉 | △15.315% | 源泉 | △5% | |
△5.315% | 2.2% | 還付△3.115% |
●非上場
所得税 | 住民税 | |||
税率 | 20% | 税率 | 10% | |
配当控除 | △10% | 配当控除 | △2.8% | |
源泉 | △20.42% | 源泉 | なし | |
△10.42% | 7.2% | 還付△3.22% |
【注意!】
29年税制改正により、納税通知書が届くまでに住民税の申告書を別途提出すれば、所得税と住民税で違う
申告方法を選択できます。
所得税は総合課税で、住民税は申告不要などできます。配当が多い方は提出すべきです。
(2019年4月記載)
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