【2024年最新】相続税の納付書はどこでもらえる?入手場所・書き方・納付方法・期限を税理士が解説
相続税の納付書は、自分で入手する必要があります。
相続税をスムーズに納付できるよう、納付方法や期限もあらためて把握しておきましょう。
本記事では、相続税の納付書の入手場所や書き方を詳しく解説します。
納付書に関するよくある質問にもお答えしているので、納付を控えている方はぜひ参考にしてください。
<この記事の監修者> 吉本 貴幸(よしもと たかゆき) 税理士法人吉本事務所 代表社員 税理士・行政書士 大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。 |
相続税の納付書は送付されない!
結論から言うと、相続税の納付書は自分で入手する必要があります。
相続税の申告を終えたら税務署から納付書が自宅に送付されると思われがちですが、税務署または金融機関の窓口でもらって、記入したうえで納付の手続きを行いましょう。
詳しくは次章から順に解説します。
相続税の納付書【入手場所】
先述の通り、相続税の納付書は税務署または金融機関の窓口で入手できます。
なお、いずれも書き間違えた場合に備え、予備をもらっておくのがおすすめです。
税務署
相続税の納付書は、最寄りの税務署で入手できます。
納付先の税務署名(被相続人の住所地を所轄する税務署名)を伝えると、納付書に印字してもらえます。
コンビニで納付したい場合、バーコード付きの納付書を作成してもらいましょう。
郵送に対応している場合もあるため、窓口へ出向けない方は問い合わせてみてください。
なお、国税庁のホームページからダウンロードして入手することはできません。
金融機関
相続税の納付書は、以下のような金融機関でも入手できます。
・みずほ銀行 ・三菱UFJ銀行 ・三井住友銀行 |
地方銀行には用意されていない場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
なお、金融機関で入手した納付書には、その地域を管轄する税務署名が印字されているため、納付先の税務署名(被相続人の住所地を所轄する税務署名)に自分で訂正する必要があります。
《項目別》相続税の納付書の書き方
ここからは、相続税の納付書の書き方を項目別に詳しく解説します。
年度
年度の欄には、相続税を納付する会計年度を記入します。
国の会計年度は4月1日〜翌年の3月31日のため、以下を参考にしてください。
令和5年4月1日~令和6年3月31日に納付する場合 | 05 |
令和6年4月1日~令和7年3月31日に納付する場合 | 06 |
相続が開始した年度ではない点に注意しましょう。
税目番号
税目番号の欄には、相続税を示す「050」を記入します。
税金の種類ごとに番号が割り振られているため、間違えないよう注意してください。
税務署名
税務署名の欄には、被相続人の住所地を管轄する税務署名を記入します。
入手した納付書の印字が異なる場合は、自分で訂正しましょう。
管轄の税務署がわからない場合は、国税庁のホームページで調べられます。
国税庁:税務署の所在地などを知りたい方
税務署番号
税務署番号の欄には、被相続人の住所地を管轄する税務署名の税務署番号を記入します。
入手した納付書の印字が異なる場合は、税務署名と同様に自分で訂正が必要です。
税務署番号は日本銀行のホームページで調べられますが、わかりにくければ税務署に問い合わせて番号を教えてもらいましょう。
日本銀行のホームページで調べる場合は、税務署名の欄に記載されている8桁の「取扱庁コード」を記入します。
日本銀行:歳入金等取扱庁一覧
なお、国税庁のホームページに「署番号」が記載されていますが、税務署番号とは異なる点に注意してください。
整理番号
整理番号は、空欄で問題ありません。
税務署が個人を特定するための番号のことです。
税目
科目の欄には、「相続」と記入します。
税目欄の下にある信託の名称は、空欄で問題ありません。
納期等の区分
納期等の区分の欄には、(自)と記載のある上段に被相続人が亡くなった日を記入します。
たとえば、令和6年2月1日に亡くなった場合は「060201」となります。
(至)と記載のある下段は、空欄で問題ありません。
申告区分
申告区分は、「4」の確定申告に丸印を付けましょう。
住所(所在地)
住所(所在地)の欄には、以下のように被相続人と相続人の両方の住所を記入します。
被相続人:〇〇
相続人:〇〇
なお、電話番号は相続人のものを記入してください。
氏名(法人名)
氏名(法人名)の欄には、以下のように被相続人と相続人の両方の氏名を記入します。
被相続人:〇〇
相続人:〇〇
なお、フリガナは相続人のみの記入で問題ありません。
本税
本税の欄には、相続税の金額を記入します。
本税とは、相続税申告書の㉔申告期限までに納付すべき金額のことです。
なお、いずれの場合も以下は空欄で問題ありません。
・重加算税 ・加算税 ・利子税 ・延滞税 |
合計額
合計額の欄には、「¥」マークを付けて本税と同じ金額を記入します。
書き間違えた場合は新しい納付書に書き直す必要があるため、合計額だけは慎重に記入しましょう。
どこで払うの?相続税の納付方法
相続税の納付方法は、主に以下の7つが挙げられます。
1.金融機関 2.税務署 3.クレジットカード 4.コンビニ 5.e-Tax 6.インターネットバンキング 7.スマホアプリ |
1.金融機関
基本的に全国の金融機関で、現金に納付書を添えて相続税を納付できます。
クレジットカードは利用できない点に留意しておきましょう。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行される |
2.税務署
被相続人の住所地を管轄する税務署で、現金に納付書を添えて相続税を納付できます。
受付時間は平日8時30分~17時に限られるほか、クレジットカードは利用できません。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行される |
3.クレジットカード
相続税は、国税クレジットカードお支払サイトを通してクレジットカードでも納付できます。
納付書の作成が不要なほか、インターネット上で24時間納付を受け付けています。
ただし、利用可能額は1回1,000万円未満と制限されており、超える場合は分けて納付しなければなりません。
手数料 | 必要 |
領収証書 | 発行されない |
詳しくは、以下で確認できます。
トヨタファイナンス株式会社:国税クレジットカードお支払サイト
国税庁:クレジットカード納付の手続
4.コンビニ
税務署でバーコード付きの納付書を作成してもらえば、コンビニでも納付できます。
ただし、利用可能額は納付書1枚30万円以下と制限されており、クレジットカードや電子マネーは利用できない点に留意しておきましょう。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行されない ※払込金受領証は発行される |
なお、バーコード付きの納付書がない場合は、国税庁のホームページでQRコードを作成すればコンビニで使用可能です。
詳しくは、以下を参考にしてください。
国税庁:コンビニ納付(QRコード)
5.e-Tax
相続税の申告をe-Taxで行なっている場合のみ、e-Taxを通して納付できます(ダイレクト納付)。
納付書が不要とはいえ事前に手続きが必要で、利用できるまで1週間~1か月程度の時間がかかるため、他の方法を検討したほうがよいかもしれません。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行されない |
詳しくは、以下を参考にしてください。
国税庁:ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の手続
6.インターネットバンキング
e-Taxで事前に手続きを行えば、インターネットバンキングでも相続税を納付できます。
納付書は不要ですが、登録に手間がかかることを踏まえると他の方法を検討したほうがよいでしょう。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行されない |
詳しくは、以下を参考にしてください。
e-Tax:登録方式による納税手続
7.スマホアプリ
令和4年12月1日から、スマホアプリで相続税を含むすべての科目で納付できるようになりました。
事前の手続きは不要で、以下のPay払いを利用できます。
・PayPay ・d払い ・auPAY ・LINEPay ・メルペイ ・amazonPay ・楽天ペイ |
ただし、利用可能額は30万円以下と制限されており、超える場合は分けて納付する必要があります。
手数料 | 不要 |
領収証書 | 発行されない |
いつまでに払う?相続税の納付期限
相続税の納付期限は、死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
通常、死亡したことを知った日は死亡した日を意味します。
修正申告等の期限は、以下の通りです。
修正申告分 | 修正申告書の提出日 |
期限後申告分 | 期限後申告書の提出日 |
更正・決定分 | 更正・決定通知書が発行された日の翌日から起算して1か月を経過する日 |
なお、期限となる日が土曜日、日曜日、祝日の場合は、次の平日が期限に設定されます。
注意!納付期限を過ぎたら延滞税がかかる
相続税の納付期限を過ぎた場合は、期限となる日の翌日から納付するまで延滞税がかかります。
延滞税は相続税と二重に支払う必要があるため、期限内に納付できるよう計画的に準備することが重要です。
なお、延滞税は納付が遅れるほど負担が増える点に留意しておきましょう。
相続税を現金で納付できない場合の対処法
相続税は原則として現金一括で納付しますが、難しい場合は「延納(納付が困難な金額の範囲内で分割納付(年払い)が認められる制度)」または「物納(納付が困難な金額の範囲内で相続財産での納付が認められる制度)」という方法もあります。
ただし、以下の一定の要件を満たす場合しか認められません。
延納 | ・相続税額が10万円を超えている ・現金での納付を困難とする事由があり、困難とする金額の範囲内である ・期限までに申請書と担保提供関係書類を提出する ・延納税額に相当する担保を提供する※延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は不要 |
物納 | ・延納による納付も困難とする事由があり、困難とする金額を限度としている ・申請財産が定められた種類の財産であり、定められた順位によっている ・期限までに申請書と物納手続き関係書類を提出する ・物納適格財産である |
もし延納や物納を検討する際は、相続専門の税理士に相談しましょう。
制度の詳細は、国税庁のホームページでも確認できます。
国税庁:相続税の延納/相続税の物納
肩代わりしてもらうと贈与になる
相続税の納付を他の相続人に肩代わりしてもらうと、相続税分の金額の贈与を受けたと判断されます。
贈与税がかかる可能性があるため、たとえ納付が難しい場合でも貸し借り(立て替え)に留めておき、後で必ず返済しましょう。
なお、本当に財産がなく納付が困難であると認められる状況では、贈与と判断されることはありません。
《Q&A》相続税の納付書のよくある質問
最後に、相続税の納付書によくある質問を紹介します。
納付書を書き間違えたらどうすればよい?
合計額の欄以外であれば、二重線で訂正すれば問題ありません。
なお、訂正印は不要です。
合計額を書き間違えた場合は新しい納付書に書き直す必要があるため、事前に予備をもらっておきましょう。
相続人が複数いる場合は1人1枚必要?
相続税の納付書は、それぞれの相続人が1人1枚用意します。
相続税が0円の相続人は、不要です。
相続税の納付は郵便局でできる?
相続税は、郵便局でも納付できます。
納付書を準備し、現金に添えて納付しましょう。
納付期限が土・日・祝の場合はどうなる?
相続税の納付期限が土曜日、日曜日、祝日の場合は、次の平日が期限に設定されます。
たとえば、納付期限が令和6年2月3日(土)であれば、令和6年2月5日(月)が期限となります。
相続税の連帯納付義務って何?
連帯納付義務とは、それぞれの相続人が連帯して相続税を納付しなければならない義務のことです。
もし自分が納付しなかった場合は他の相続人に、他の相続人が納付しなかった場合は自分に、相続税の納付義務が生じます。
なお、連帯納付義務のもと代わりに相続税を納付してもらった場合でも、相続税分の金額の贈与を受けたと判断され、贈与税がかかる可能性があるため、後で必ず返済しましょう。
相続税の納付書はダウンロードできる?
相続税の納付書は、国税庁のホームページからダウンロードすることはできません。
税務署または金融機関の窓口で入手してください。
まとめ
相続税の納付書は、税務署から自宅に送付されるわけではないため、自分で入手しなければなりません。
それぞれの相続人が1人1枚用意する必要があるので、税務署または金融機関の窓口で予備を含めて必要な枚数の納付書をもらいましょう。
なお、相続税の納付期限を過ぎたら延滞税がかかります。
余計な負担を増やさないためにも、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に納付しましょう。
相続税に関するご相談は税理士法人吉本事務所へ
相続税に関するご相談は、税理士法人吉本事務所へお問い合わせください!
当事務所には相続専門の税理士が在籍しており、お客様のお悩みやご要望に合わせて相続全般のサポートを行なっております。
少しでも相続税の負担を軽減できるよう、相続発生前から発生後まで幅広いご相談を承っておりますので、些細なことでも当事務所までお気軽にご相談ください。