【税理士監修】税務署に相続税の相談はできる?相談すべきケースや利用方法、注意点を詳しく解説
相続税についてわからないことがあれば、税務署の相談窓口を利用するのも一つです。
ただし、相談できる時間や内容に制限があるため、事前に確認したうえで自分の悩みに合った相談先を検討しましょう。
本記事では、税務署に相談すべきケースや相談窓口の利用方法を詳しく解説します。
相続税の申告が必要か不要かの判断基準も解説しているので、相続税がかかるかわからない方もぜひ参考にしてください。
<この記事の監修者> 吉本 貴幸(よしもと たかゆき) 税理士法人吉本事務所 代表社員 税理士・行政書士 大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。 |
税務署の相談窓口は無料で利用できる!
税務署では、納税者が正しく申告・納税できるよう、相談窓口を設置しています。
無料で電話または面談を利用できるため、相続税についてわからないことがあれば税務署に相談するとよいでしょう。
なお、電話相談は税務署からのお尋ねや納付の相談など、税務署の職員に用がある場合を除き、音声案内を通して国税庁の電話相談センターに繋がります。
面談を希望する場合は、最寄りの税務署ではなく被相続人の住所地を管轄する税務署で予約が必要です。
詳しい利用方法は、後ほど解説します。
税務署に相談するメリット・デメリット
税務署に相談するメリット・デメリットは、主に以下が挙げられます。
メリット | ・匿名で相談できる ・無料で利用できる ・相談する方法を選べる ・何度でも利用できる |
デメリット | ・受付時間に制限がある(平日8:30~17:00) ・一般的な内容の相談しかできない ・税理士に相談できるわけではない |
税務署の相談窓口は気軽に利用できる一方で、相談できる時間や内容は限られてしまう点に注意しましょう。
税務署に相談できることは次章で解説します。
なお、相続税の無料相談窓口を探している場合は、以下の記事を参考にしてください。
相続税の無料相談ができる窓口を一覧で紹介
税務署へ相続税に関して相談できること
税務署では、主に以下のような内容を相談できます。
・相続税の申告が必要かどうか ・相続税はどのように計算するか ・申告書はどのように作成すればよいか ・申告書に添付が必要な書類は何か ・相続税の特例・控除は適用できるか ・路線価はどのように調べればよいか など |
相談窓口の担当者はあくまで税務署または国税庁の職員のため、専門的な知識が必要な内容は相談できません。
税務署の相談窓口を利用すべきケース
先述の通り、税務署では一般的な内容の相談しかできないため、相続税の申告を自分で行うために基本的な手続きを教えてほしい場合に利用するのがおすすめです。
反対に、相続税を抑える節税対策や申告の代行など、専門的なサポートが必要な内容は税理士に相談すべきでしょう。
なお、現時点で相続税の申告が必要と予測される場合は、できるだけ早く税理士へ相談することが重要です。
記事の後半で、申告が必要か不要かの判断基準や税理士に相談するメリットも併せて解説します。
税務署の相談窓口を利用する方法
ここからは、税務署の相談窓口を利用する方法を紹介します。
電話相談する
相続税について電話相談を希望する場合は、以下の流れで行いましょう。
なお、税務署の職員に用がある場合を除いて、相続税を含む国税の相談は、音声案内を通して国税庁の電話相談センターに繋がります。
税務署ではなく、電話相談センター(0570-00-5901)に電話をかけても窓口は同じです。
1.管轄の税務署(または電話相談センター)に電話をかける 2.音声案内に従って「1」を選択する 3.電話相談センターの職員に繋がる |
※受付時間:平日8:30~17:00
税務署の管轄地域は、以下で確認してみてください。
国税庁:税務署の所在地などを知りたい方
直接相談する
税務署で直接相談(面談)する場合は、事前に以下の流れで予約が必要です。
1.管轄の税務署に電話をかける 2.音声案内に従って「2」を選択する 3.税務署の受付担当者に繋がる 4.相談の予約がしたい旨を伝える |
※受付時間:平日8:30~17:00
なお、予約の際は名前、住所、相談内容など、職員から質問があります。
税務署の管轄地域は、以下で確認してみてください。
国税庁:税務署の所在地などを知りたい方
また、相談窓口の詳細は、国税庁のホームページでも確認できます。
国税庁:税についての相談窓口
税務署の相談窓口を利用する際の注意点
税務署の相談窓口を利用する際は、以下3点に注意しましょう。
・土日祝は対応していない ・専門的な相談はできない ・事前に資料を準備しておく |
それぞれ解説します。
土日祝は対応していない
税務署や国税庁の電話相談センターの受付時間は平日8:30~17:00で、土曜日、日曜日、祝日は対応していません。
なお、確定申告の時期は窓口が混雑しており、電話が繋がりにくかったり予約が取りにくかったりする場合もあります。
相続税の申告は、死亡したことを知った日(死亡した日)の翌日から10か月以内が期限のため、税務署へ相談しながら手続きを進めたい場合は余裕をもって行動しましょう。
専門的な相談はできない
相談窓口の担当者は、あくまで税務署または国税庁の職員で、税理士ではありません。
国税庁のホームページにも「一般的なご相談(制度や法令等の解釈・適用についてのご相談や手続案内など)」と記載があるように、節税対策を含め専門的な相談には対応していないことを踏まえて利用しましょう。
なお、職員の回答が間違っていたとしても税務署が責任を取ってくれるわけではないため、判断が難しい内容は税理士に相談したほうが安心です。
事前に資料を準備しておく
税務署に直接相談(面談)する場合は、以下のような書類を持参するとスムーズに進められます。
予約する際に、どのような書類を準備すべきかを確認し、手元に揃えておきましょう。
共通 | ・遺産分割協議書 ・遺言書 |
不動産 | ・所有不動産を証明するもの(固定資産評価証明書/登記済権利証/登記事項証明書など) ・土地の賃貸借契約書(借地権等の場合) ・住宅地図/公図/実測図など |
有価証券 | ・銘柄・株数がわかる書類 |
現金・預貯金 | ・預貯金の残高証明書 ・預(貯)金通帳 |
生命保険金・損害保険金 | ・保険証券 ・支払保険料計算書 |
死亡退職金 | ・支払明細書 |
貸付金・前払金 | ・借用書 |
未収の給与・地代・家賃・配当 | ・賃貸借契約書 ・通帳 ・配当金支払通知書 |
その他の財産(貴金属・自動車・ゴルフ会員権など) | ・取得価額や評価額がわかる書類 |
生前贈与を受けている場合 | ・相続時精算課税適用財産の明細 ・贈与税の申告書(控) ・受贈財産がわかる書類 |
債務 | ・借入金の残高証明書 |
「相続税についてのお尋ね」が届いたら
税務署から相続人のもとへ「相続税についてのお尋ね」が送付される場合があります。
相続税の申告が必要である可能性が高い方に向けて送付されるため、お尋ねが届いたらまず申告の要否を確認しましょう。
なお、申告が不要な場合は税務署にお尋ねを返送するだけですが、申告が必要にもかかわらずまだ準備していない場合は、早く手続きを進めなければなりません。
相続税の申告要否を判断する基準は、次章で解説します。
相続税の申告が必要か不要かの判断基準
相続税は、相続した遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に、超えた部分に対してかかります。
遺産総額が基礎控除額を超えなければ相続税はかからないため、申告も不要です。
たとえば、法定相続人が2人であれば基礎控除額は4,800万円のため、遺産総額が4,800万円を超えると相続税がかかり、申告も必要となります。
ただし、相続税の特例や控除を利用する際は、相続税がかからない場合でも申告は必要です。
詳しくは、以下の記事でも解説しています。
相続税の申告要否を判断するポイントを税理士が解説
申告が必要な場合は税理士事務所に相談を
相続税の申告は自分でも行えますが、少しでも相続税を抑えたいなら税理士に相談すべきです。
税務署では一般的な内容の相談しかできず、相続人の有利不利を踏まえたアドバイスは受けられません。
税理士事務所の中には無料相談を受け付けている場合もあるため、相談したい内容に応じて相談先を選びましょう。
相続税の申告を税理士に依頼するメリット
税理士に相続税の申告を依頼すると、以下のようなメリットを得られます。
・節税対策を提案してもらえる ・申告の手続きをすべて任せられる ・税務調査のリスクを下げられる |
順に解説します。
節税対策を提案してもらえる
税理士は相続人が有利に申告を行えるよう、相続の状況に合わせた対策を提案します。
相続税には負担を軽減するための特例が存在しますが、どのように活用すべきかは専門家による正確な判断が必要です。
また、次の相続(二次相続)を見据えたアドバイスが受けられるのも、税理士に依頼するメリットの一つです。
申告の手続きをすべて任せられる
相続税の申告はただ申告書を作成するだけでなく、相続財産の確認や評価、遺産分割などを行なったうえで、相続税を計算したり必要書類を集めたりと多くの時間と手間がかかります。
一方、税理士に相談すれば申告までの手続きをすべて任せられるため、精神的な負担も軽減できるでしょう。
特に不動産のような評価が難しい財産がある場合は、税理士に相談するのが賢明です。
税務調査のリスクを下げられる
相続税の申告書には税理士の署名欄があるため、税理士に依頼することで税務調査が行われるリスクを減らせます。
税務調査とは、申告内容が間違っていないかを調べるために税務署が行う調査のことです。
もし調査の対象となれば申告から約1~2年後に行われ、申告内容の誤りや漏れが発覚すると、追徴課税を受ける可能性がある点に注意しましょう。
相続税のご相談は税理士法人吉本事務所へ
相続税のご相談は、税理士法人吉本事務所へお問い合わせください!
当事務所では、以下のようなお悩みに幅広く対応しています。
・相続税がかかるかどうか ・かかる場合はどれくらいの額になるのか ・相続税の負担を軽減するにはどうしたらよいか ・相続の手続きはどのように進めればよいか ・相続税の申告まですべて任せたい ・相続税の税務調査に不安がある ・相続税を現金で納付するのが難しい |
相続財産が多ければ相続税の負担も重くなるため、申告前の対策が重要です。
100件以上の申告実績がある相続専門の税理士が、お客様のお悩みに合わせて相続税全般のサポートを行いますので、些細なことでもまずは当事務所までご相談ください。
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まとめ
税務署では、納税者が正しく申告・納税できるよう相談窓口を設置しており、電話または面談での相談を受け付けています。
専門的な知識が必要な内容は相談できませんが、相続税申告の基本的な手続きを教えてほしい場合は利用してみるとよいでしょう。
なお、事前に資料を準備しておくとスムーズに進められます。
税務署の相談窓口で解決できそうにない場合は、信頼できる税理士事務所に相談してみてください。