消費税・一般課税と簡易課税その2
前回の「消費税の有利不利」で消費税の申告は「一般課税」と「簡易課税」の二種類の申告方式があると書きました。
では消費税には何故「一般課税」と「簡易課税」の2種類の計算方式があるのでしょうか?
簡易課税
「簡易課税」はその名の通り簡単に計算出来る課税方法です。
売上や雑収入や資産の売却などの収入に係る消費税についてきっちり処理すれば、仕入等の支払った消費税については一切考慮しなくても納税額が計算出来ます。
中小事業者の事務処理を簡略化するためにこの計算方法があります。
一般課税
これに対して「一般課税」は売上などの収入だけでなく、仕入・経費・資産の取得など支出のすべてについても消費税の処理が必要となり、「簡易課税」に比べて処理が煩雑となります。
二種類の申告方式がある理由
では処理が煩雑なら何故すべて簡単な「簡易課税」にしないか、ということになるかもしれませんが、「簡易課税」では実際の支払った消費税が考慮されないため、一般消費者から預かった消費税が一部事業者に残ってしまう場合があり、事業者にとっては消費税が利益となり、一般消費者から見ると支払った消費税が国に納められず事業者の利益となって不満が生じます。
(このため「簡易課税」は基準期間の売上高が5000万円以下の中小事業者に限定されています。)
また、収入にかかる消費税よりも支払う消費税が多い事業者の場合「一般課税」の計算方法では消費税が還付となりますが、「簡易課税」では支払う消費税は考慮されないため、この場合には「簡易課税」では事業者が損をしてしまいます。
二種類の申告方式の選択
「一般課税」の煩雑な処理が出来ない場合は有利不利という観点からではなく、処理が簡単だから「簡易課税」を適用する、ということになる場合もあるかもしれませんが、前述の通り、この二種類の計算方法は消費税の納税額が異なります。
経理処理や計算が両方出来るのであれば、比較して、有利な方法で納税すれば常に有利な金額で納税することが出来ます。
(注意)「簡易課税」を適用すると、2年間の継続適用義務がありますので、このことも考慮して検討する必要があるので注意して下さい。
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