償却資産税の対象になるものならないもの
1.償却資産とは
償却資産とは、会社や個人で事業をしている人が、その事業のために用いる構築物・機械・工具・器具備品などの固定資産で、減価償却の対象となる資産のことをいいます。無形固定資産や繰延資産は含みません。また、普通自動車など自動車税の対象となる車両は、償却資産にはなりません。
償却資産には土地や家屋と同じように固定資産税が課されます。償却資産の申告が必要な人は毎年1月1日に償却資産を所有している人になります。
2.申告の対象となるもの
(1)現在稼働を休止しているが、事業の用に供することができる状態の遊休資産
(2)購入済みではあるが、まだ稼働していない未稼働資産
(3)減価償却は行っていないが、本来減価償却をするべき性質の資産
(4)耐用年数が経過して償却済みとなった資産
(5)事業専用割合が100%でない資産(事業専用割合にかかわらず、全額申告必要)
(6)償却資産の改良のために支出した金額(資本的支出)
(7)車両のうち大型特殊自動車
(8)取得価額が30万円未満の資産で、少額資産の損金算入の特例により一時に経費算入するもの
3.申告の対象とならないもの
(1)現在使用していない資産で、将来も使用できない状態にあるもの。
(2)無形固定資産(特許権やソフトウエアなど)
(3)繰延資産(創立費や開業費など)
(4)たな卸資産(商品など)
(5)美術品など時の経過によりその価値が減少しないもの(1点100万円以上のもの)
(6)牛・馬・果樹その他の生物(観賞用・興行用等のぞく)
(7)取得価額10万円未満または使用可能期間が1年未満の資産で、一時に経費算入するもの
(8)取得価額が20万円未満の資産で、3年均等償却するもの
(9)ファイナンスリース取引に係るリース資産で、取得価額が20万円未満のもの
4.家屋の附帯設備について
家屋の附帯設備については、固定資産税が家屋として課税されるものと償却資産として課税されるものがあります。一般的に、家屋と構造上一体になっている設備は家屋に含まれますが、構造上一体になっていなかったり、取り外しが容易であったりと、独立した資産としての性格が強いものは償却資産となります。例えば、下の表のようなものがあります。
家屋(申告不要) | 償却資産(要申告) | |
電気設備 | コンセント配線などの屋内設備 | 屋外設備・引込設備 |
空調設備 | 天井埋込型エアコン | 壁掛けエアコン、据置エアコン |
電話設備 | 配管・配線など | 電話機などの機器 |
給排水設備 | 屋内配管など | 屋外設備・引込設備 |
ただし、家屋とされるものであっても、テナントが事業の用に供するために、取り付けたものについては、テナントの償却資産とされ、申告が必要となります。
例えば、美容院が店舗を借りて、内装工事を行った場合には、その内装や設備は美容院の償却資産となり、ビルオーナーの家屋ではなく、美容院の償却資産として課税がされます。
5.リース資産について
賃貸側(リース会社) | 賃借側(ユーザー) | |
オペレーティングリース | 要申告(注1) | 申告不要 |
所有権移転外ファイナンスリース | 要申告(注1) | 申告不要 |
所有権移転ファイナンスリース | 申告不要 | 要申告(注2) |
(注1)償却資産の所在地に申告します。
(注2)自己の資産として申告します。
6.免税点
固定資産税には免税点があり、土地は30万円、家屋は20万円、償却資産は150万円です。つまり、その市町村内(都の区部や指定市の区では区内)における償却資産の合計の課税標準額(評価額)が150万円未満の場合には課税されないことになります。
ただし、資産の合計が150万円未満であっても、申告は必要です。
7.税額計算
(1)課税標準(評価額)
評価額=取得価額(次年度以降は前年度評価額)×原価残存率
※計算した額が取得価額の5%を下回る場合には、取得価額の5%の金額
(2)税額
課税標準額(千円未満切捨)×税率(1.4%)=税額(百円未満切捨)
8.法人税等国税との償却計算の違い
償却資産 | 法人税・所得税 | |
償却方法 | 旧定率法 | 定額法または定率法 |
評価額の償却限度額 | 取得価額の5% | 1円 |
前年中の新規取得資産の償却 | 半年償却 | 月割償却 |
圧縮記帳 | ||
特別償却・割増償却・即時償却 | 認められない | 認められる |
少額資産(30万円未満)の損金算入の特例 |
9.少額資産等の取扱い
償却方法 | 償却資産税の申告 |
少額減価償却資産(10万円未満or 1年未満) | 申告不要 |
一括償却資産(20万円未満、3年償却) | 申告不要 |
中小企業の少額減価償却資産特例(30万円未満) | 要申告 |
上記の図のように、中小企業の特例で30万円未満の資産を一時に経費にする場合、償却資産税の対象となってしまいます。資産が20万円未満であれば、3年で償却する一括償却資産の制度を使えば、償却資産税の対象から外れるので、ご利用下さい。
(2020年7月記載)
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